色々な扇子とその用途

色々な扇子とその用途

扇子には様々な種類があります。普段から使う紙の扇子から、鉄性の物や羽で出来たもの、冬の扇に夏の扇、めでたい時に使うもの、踊りに使うものなど、季節や用途によっても違う種類のものが使われているんです。また、使い方も様々で、ただ風を生み出すだけでなく、踊りに使ったり挨拶に使ったり弓矢の的にされたりと色々です。意外と知られていない扇子の種類や使い方をご紹介します。

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扇子の種類

  • 冬の扇・・・檜扇や中啓がこれに当たります。主に儀礼用として使われます。中啓は能楽をはじめとする諸芸能でも使われます。古くは10本骨の沈折(しずめおり)の扇も広く用いられ、これは夏冬共用の形式でした。
  • 夏の扇・・・蝙蝠扇とも言います。現在一般に市販されている両面貼りの骨の多い扇子も夏の扇に分類されます。なお公家の夏の扇は江戸時代に至っても蝙蝠扇と称し、骨が扇の表面に露出している物でした。
  • 唐扇(中国扇)・・・中国大陸で作られた扇です。日本から輸入された扇はやがて中国でも真似て作られるようになり、日本の扇が骨の片面にだけ紙を貼っていたのを、両面貼りにし骨の数も多くしたのが中国扇です。現在日本の夏に見られる扇子の多くはこの形式が採られています。両面貼りの形式は日本にも逆輸入され、室町時代には中啓が現れるに至りました。
  • 洋扇・・・ヨーロッパで作られた扇です。日本の扇は大航海時代に中国を経由して西洋にまで輸出されて独自の発展を遂げ、17世紀のパリには扇を扱う店が150軒を数えるほど、上流階級の女性のコミュニケーションの道具として大流行しました。ヨーロッパでは絹やレースを貼った洋扇に発展し、孔雀の羽根を使った扇子も作られました。
  • 羽根扇子・・・洋扇を羽根で飾ったものです。日本では宝塚歌劇などでよく使われています。主に歌劇中の女性貴族の持ち物として用いられ、劇中の華やかさを彩るアイテムとなっています。1990年代にはディスコで踊る時に使うのが流行り、ジュリアナ東京でも多く用いられたことから「ジュリ扇」とも呼ばれました。
  • 軍扇・・・その昔、武将が戦場に携えた扇です。その形式は時代によっていくらか相違はありますが、だいたいは骨は黒の塗骨で、表は赤地に金の丸で日輪を表し、裏は紺色の地に銀で月と星を描くといったものでした。
  • 鉄扇・・・親骨を鉄製にした扇です。鉄の短冊を重ねたもの、また閉じた状態の扇子の形を模しただけで開かない鉄扇もあります。これは携帯用の護身具または鍛錬具として用いられたもので、「手馴らし鉄扇」とも呼ばれています。
  • 舞扇・・・沈折の扇で、日本舞踊や歌舞伎に使われるものです。
  • 祝儀扇・・・冠婚葬祭に用いられる扇です。一般には男性は白、女性は金や銀の扇子となっていますが、用途によって格式が細かく定められており、葬儀には「不祝儀扇」ともよばれる黒い扇子が用いられます。
  • 飾り扇・・・部屋に飾り物として置く扇子です。大抵の場合飾り物としてそれ専用に作られたものを飾ります。上にあげたそれぞれの扇の規格に沿って製作してはいないので、たとえば能楽や日本舞踊などで飾り扇を使うことはありません。

扇子の色々な使い方

扇ぐ

扇子の最もスタンダードな使い方です。暑いときに、手元で扇子を開いて自ら風を送ることで涼しさを得る目的で仰ぎます。繊細な構造なので、強い風を送るのには向いていません。所作としては、胸元より低い位置で、音を立てずに静かに扇ぐのが正しい使い方と言われています。成田山などの自社で護摩を焚く場合には、点火後、扇子を広げて火を扇ぐ様子も見られます。

口を隠す

礼儀として口元を隠すときにも使われます。主に笑うときなどに、相手に歯が見えないよう顔の前に扇子を持ってきて口元を覆います。

贈りものとして

古くは江戸時代の正月に、親しい相手に白扇を贈る習慣がありました。またほかに儀礼用として、杉原紙1帖に白扇1本をひと組の贈答品にしたそうです。現在は能楽で節目の舞台をする時に、出演者や贔屓の方に配るという習慣があります。この習慣は落語などでも行われています。かつては販売促進の物品に使われていたこともあったようですが、現在はうちわにその座を奪われています。このほか、平安時代などにおける貴族階級で上位の階級のものが親しい下位階級の者に下賜するときの贈答品としても扇子が用いられていました。

小道具として

能楽や狂言、仕舞などでも扇子は用いられます。演目において、またシテ方・ワキ方をはじめとして、それぞれがどのような扇を持つかは流派で細かく規定があります。囃子方、地謡方も舞台上で開くことはありませんが、それぞれの流派で決められた扇を持つよう定められています。日本舞踊でも扇子は用いられていて、笠に見立てたり、盃に見立てたりして使います。また、歌舞伎の舞台でも扇は必須です。「熊谷陣屋」の熊谷直実のように、劇中で「物語」といって以前に起きた事件や出来事を物語る場面では扇が効果的に使われます。もっと身近な所では、落語でも扇子は重要な小道具になります。うどんやそばを食べるしぐさでは畳んだ状態での扇子を箸に見立てて用います。少し開けて傾けると酒を注ぐ銚子になり、畳んで口元に運べばタバコになりと、場面に応じて様々なものに見立てられる扇子は、手ぬぐいと並んで重要な落語の小道具の一つです。噺家の隠語では扇子は風と呼ばれています。また講談師が講談の最中に、調子取りと音を出すために、釈台を叩くのにもつかわれています。その他にも、蹴鞠や茶道、香道においても、実際には開いて扇ぐようなことはありませんが、それぞれ決められた扇を持っています。

結界として

座って挨拶をする時に、胸元から畳んだ状態の扇子を自らのひざ前に置き、それを境にするように相手に礼を行います。これは扇子に自分と他人との境をつくる「結界」としての役割を持たせたものです。葬儀の際に喪主に挨拶する場合にも同じように行います。

遊び道具・的として

投扇興(とうせんきょう)といい、扇子を的に向かって投げて的を落とすという遊びにも用いられます。投扇興の技の名前には源氏物語の帖名や百人一首などが用いられています。また、日の丸の扇子を開いて弓の的とした事例もあります。治承・寿永の乱(源平合戦)で弓の達人といわれた那須与一が、平氏の船の上に掲げられた的である扇の要を射抜いて落としたという故事はあまりにも有名です。

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人を叩く

落語で自分の頭を叩いたり、踊りの師匠が弟子を嗜めるのに、手ではなく扇子を使って頭や手を叩くことがあります。空中で叩く所作をし、それで叩いたことにすることもあります。また、大きな紙を折りたたんで一方をテープで止めた簡易的な扇子は「ハリセン」と呼ばれ、ドツキ漫才などでツッコミに用いられます。武士階級では扇子で頭を叩かれる行為は非常に屈辱を受けるものとされていました。扇子で頭や手足を叩く行為は明治以降に行われるようになったと思われます。

まとめ

暑い夏を乗り越えるためには、我慢せずエアコンを使うことも大切かもしれません。しかし、エアコンだけに頼らず、扇風機を使ったり扇子や団扇を使ったりすれば、電気代の節約にもなりますし、地球にも優しいエコな暮らしができます。正しい使い方とちょっとの工夫をすれば、扇風機だけでも十分夏は乗り越えられると思います。でも、だからと言って頑なにエアコンを使うなとは言いません。近年の日本の夏は本当に暑いです。熱中症で毎年何人ものお年寄りや小さなお子さんが亡くなっています。具合が悪くなる前にエアコンをつけること、それから沢山水分を取ることも大切です。電気代を節約したいなら、日中はエアコンの効いた図書館やショッピングモールなどで過ごすというのも一つの手ですね。たった3ヶ月くらいのことですが、扇風機やエアコンを上手に使って乗り越えましょう。