うちわの機能

日本の伝統で涼を感じる~扇子~

うちわよりもちょっと高級感があるのが扇子です。風を作って涼しくしてくれるだけでなく、大人のゆとりや優雅さを演出してくれるのも扇子の良い所ですね。浴衣にうちわもいいですが、お着物と扇子もカッコいい組み合わせです。また、扇子はうちわと違って小さく折りたためるので持ち運びにも便利です。暑い夏にハンカチや書類のファイルで顔を扇ぐ人を良くみますが、そんな時すっと鞄から扇子を出せたらスマートですよね。大人の嗜みともいえる扇子も日本の夏を彩る伝統の一品です。

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扇子について

扇子とは、うちわと同じく自分の手で風を送るのに用いる道具です。扇子は元々は「扇(おうぎ)」と呼ぶのが普通でした。「おうぎ」という言葉は「あふぐ(扇ぐ)」の派生形の「あふぎ」なのですが、日本語の変化により関連がわかりにくくなったのだそうです。扇子は、数本から数十本の細長い竹や木で出来た骨を束ねて端の一点(要=かなめ)で固定し、使わないときは折りたたみ、使用時には展開して使用します。骨には大抵和紙が貼られており、展開すると紙を貼られた部分が雁木形の扇面となります。折りたたむことでコンパクトに収納が出来ます。開閉の方法は、骨を右手親指でずらすように押すことで開きます。一般的には右利き用となっていますが、左利き用も販売されています。また、扇子そのものを振ることで開く方法もあります。扇子を開く角度は、大体90度から180度の間であり、円を三等分した中心角120度前後のものが主流です。扇子を開いた形は「扇形(おうぎがた)」と言い、幾何学の用語にもなっています。このような扇子の形状は、「末広がり」に通ずるので縁起のよいものとされてきました。そのため、めでたい席での引き出物としても用いられています。

扇子の構造

扇子は、竹や木で出来た「骨」、和紙や布が使われる「扇面」、根本を止める「要」、扇を止める帯状の輪「責(せめ)」で構成されています。

骨の材質は、一般的には竹製または木製の物が多く、先端部ほど薄く細くなるテーパ構造になっています。大抵の扇子の骨は細長く、折りたたんだ和紙を張って開くと段になるように展開します。骨組みのうち、一番外側の親骨は特に太く、内側の骨とは逆に先端部ほど太くなっています。親骨に装飾として漆塗や蒔絵などの細工が施されているものもあります。また象牙、鼈甲なども骨の素材とすることがありますが、これらはもっぱら洋扇で使われ、日本の扇子で使われることはほとんどありません。また、白檀などの香木を平たく削ったものを重ねて作られる扇子もあります。

扇面

あおぐ時に風を送る部位です。骨が完全に開き切らないように固定する働きもあります。伝統的な扇子では和紙が用いられますが、最近では合成繊維や布を貼ったものも多いです。この扇面に絵を描く必要から、湾曲した形状の紙に描く、「扇絵」と呼ばれる日本画の形式が展開しました。「風神雷神図」で知られる俵屋宗達は、この扇絵が得意だったと言われています。

要(かなめ)

扇を開く際に根本で止めるものです。扇子の要は金属やプラスチック、鯨ひげなどで骨を束ねています。この部位が壊れると扇子としての用をなさなくなるため、最も重要な部分です。このことから、「肝心要」という言葉が生まれました。なお、野球で球場を扇に例えて要に位置し、守備陣の要所となることから捕手を指して「扇の要」と呼ぶこともあります。

責(せめ)

扇を止める帯状の輪です。新品の扇子を買ったときに付いてきます。大抵の人はなくしたり捨ててしまったりするのですが、扇子を使わないときに嵌めておくことで骨の変形を防いでくれる役目があるので、きちんととっておきましょう。

扇子の歴史

「扇」という漢字は、本来は軽い扉のことを意味し、そこから転じてうちわのことを指す言葉になりました。うちわは紀元前の中国で用いられたという記録が残っています。また古代エジプトの壁画にも、王の脇に巨大な羽根うちわを掲げた従者が侍っている図があり、日本では佐賀県の利田遺跡でうちわの柄が出土した例もあります。このようにうちわは文明発祥時から存在していますが、木の薄板を重ねたり、また紙を折りたたんで製作する扇は日本で発明されたものでした。最初に現れた扇は30㎝ほどの長さに2~3㎝幅の薄い檜の板を重ねて作る檜扇と呼ばれるもので、これは奈良時代から平安時代の初期にかけて世に現れたと言われています。紙は貼られておらず、その起こりは一説には木簡を束ねて一方の端に穴をあけ、そこに紐などを通して縛ったものだったといいます。しかし檜扇のそもそもの用途は開いて扇ぐものではなく、メモ帳として物を書きつけるものだったそうです。のちに檜扇は冬の季節の扇となります。その後平安時代の中ごろまでに、5本または6本の細い骨に紙を貼った蝙蝠扇(かはほりあふぎ)が夏の扇として現れます。これが現在一般に知られる扇の原型ですが、この頃の紙貼りの扇は扇面の裏側に骨が露出する形式の物でした。平安時代には扇はあおぐという役割だけでなく、儀礼や贈答、コミュニケーションの道具としても用いられました。具体的には和歌を書いて贈ったり、花を載せて贈ったりしたことが、源氏物語などの多くの文芸作品や歴史書に書かれています。このように扇は涼をとったりもてあそび物にされる一方で、時代が下るにつれ儀礼の道具としても重んじられ、公家や武家また一般庶民の別なく、日常や冠婚葬祭での持ち物のひとつとなっていきました。ほかには、宮中において2組に分かれて扇を持ち合い、その描かれた絵画や材質の優劣を競い合う「扇合わせ」という行事が円融天皇の天禄4年に行われたという記録があります。また、近世には毎月一日、天皇が三種の神器が安置されている内侍所へ参拝する時の持ち物として、御月扇と称して月ごとに末広の扇が絵所より新調されましたが、そのほかに表面に古代中国の賢聖、裏面に金銀砂子に草花を描いた賢聖御末広という末広が献上されることもありました。日本の扇はコンパクトに折りたためるという利点が高く評価され、中国大陸には北宋の時代に、またその中国を経てヨーロッパにも輸出されました。

よい扇子の選び方

扇子は紙が破けたり、要が外れてしまったりと故障してもメンテナンスをすることで繰り返し長く使えるエコなアイテムです。その代わりお値段もピンからキリまでありますが、どうせ買うなら長く使えるいいものを買いたいですよね。そこで、よい扇子の見分け方をご紹介します。まずは、閉じた状態で扇子を正面から見てみましょう。この時全体的に左右対称になっている扇子がいい扇子です。また、扇子の先端部分が平らになっていることも確認しましょう。次に扇子を真上から見てみます。畳んだ扇面の紙の折り目がきちんと揃っているものがいい扇子です。これらが整っていることが、職人さんの熟練の技が活きている証拠なのです。次に、扇子を実際に広げてみましょう。広げたとき、要がスムーズに動くことを確認します。要の締め具合はきつすぎても緩すぎても駄目なので、滑らかに動くものを選びましょう。また、扇子の骨が扇面の上部約1㎝下まで伸びていることも確認しましょう。骨が短すぎると扇子が壊れやすく、弾力もないため快適に扇げません。逆に骨が長すぎると紙が破けやすくなるので注意が必要です。最後に実際に扇いでみて、扇面に程よい弾力があり、好みの風量が生み出せるものを選んでください。扇子は良い物を選べば本当に長く使えます。お気に入りのものを見つけてお出かけなどに持ち歩くといいかもしれませんね。

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